旧阿草トンネル


福知山線 下滝−丹波大山間


 


 兵庫県は丹波市から篠山市にかけて東西に流れる
篠山川。その市境は川を挟んで山が迫り出し、川沿い
を走る県道77号線、そして対岸の福知山線が残り少ない
スペースを駆使して抜けていきます。
 写真は丹波市側の阿草踏み切りです。視線の先が
篠山市方面、今回探索予定の旧トンネルのある場所
でございます。
 少し先に進みますと篠山川が福知山線を潜り、県道
と鉄道を分かちます。

 「第三篠山川橋梁」というようです。

 で、見にくいですが写真右、現在のコンクリ橋脚のさら
に右側に石積みの橋台を見ることができます。これが
旧線の橋台だったのかもしれません。
 。。。。。。。。。で、一気に探索スタート地点近くまで進
みます。近付く為にはやはりここを通らなくてはならない
でしょう。県道方面から真新しい吊橋が架かっていま
す。
 写真ではすでに渡り終えて振り返っての撮影です。
 周辺地図はこんな感じです。
 接近には左に向かいます。
 けっこう大層な造りに見えますが。。。すごいっす。
 公園の端っこまで来ました。篠山川に注ぐ支流に遮ら
れてしまいます。

 支流をクリアするにはやはりここしかないと思います。
 切込みの入った堰堤があるため、足を濡らさずに進む
ことが可能です。
 堰堤の上から対岸の旧線橋梁跡を撮影。
 うーむ。。。城砦のようですな。。。
 意外と高い所を走っていたようです。
 振り返りますとこちらにも橋台が。
 既に公園の一部になっています。
 篠山川方面は。。。えらく白濁していますねえ。。。
 城砦に上がりました。公園側の橋台と、当然ながら
目線が同じです。
 そろそろ桜の季節です。イベントがあるんですかねえ。
 左に目をやると、現在線を電車が走っていきました。
 さあ、ここから廃線跡です。
 定期的に刈り払いされているのか、ものすごくフラット
です。
 右手に落石防護柵が続きます。現行路線はもうトン
ネルの中ではないでしょうか。
 それにしてもフラットやなあ〜。散歩道みたい。
 左手が開けました。
 まだまだフラットです。
 対岸は県道です。
 県道も山を切り崩して無理矢理フラットスペースを確保
して通過しています。
 この辺が山深き場所であることを示しています。
 !!!

 むおっ

 いままでの平穏さを叩き潰す光景が目の前に。。。
 切り通しの先で法面の崩壊が。。。
 振り返れば、平穏な姿を留める廃線跡。。。
 ストロングネットもろとも崩れ落ちた状況を留めていま
す。
 見上げてみます。
 崩壊は大分上の方で発生したようですねえ。
 崩壊からもう大分年月が過ぎ去っている感じがしま
す。
 崩壊地点上から先を見通します。
 よかった、またフラットな状態に戻っています。
 しかし、その先で突然籔が深くなります。。。
 まるで何かを隠すような。。。
 やはり!
 ついにその姿を捉えました。

 トンネル周辺だけ、ぐっと籔が濃くなっていました。
 旧阿草トンネル。しっかりとその姿を捉えることができ
ました。
 反対側の光がはっきりと見える短いトンネルです。
 。。。。。。。。。。。。

 なんか、他の福知山線旧トンネルと雰囲気が違う。。。
 迫石は煉瓦で巻かれていますが、その周囲はコンクリ
だかモルタルだかで塗り固められています。
 そして上部の落石避け????木製ですが。。。
 でもそんなに損傷はみられないので、上はそんな急
斜面ではないようです。枯れ木避けかな。。。
 左側面に施工年月が記されていました。
 昭和34年8月、昭和35年3月。
 やはりかなり古い施工です。
 坑門は???な部分が多かったですが、内部はやは
り、ああ、福知山線やなあ。。。と思わせるしっかりとし
た造りが残っておりました。
 内部から西側方面を見ます。
 やはりこの”廃”風景は良いです。
 短いといえどもやはり白化は進んでおり、煉瓦アーチ
は本来の色ではないと思われます。
 真っ白の退避坑。
 造りはやはり統一されているようですねえ。
 あっという間の反対側。
 東側坑口はコケが育ってますねえ。
 東側の煉瓦アーチは結構綺麗に残っている部分もあ
ります。日当たりの差でしょうかねえ。
 東側坑口からの廃線風景。。。
 おおっ、廃っぽさUP。。。
 東側坑口です。
 こちらはこれぞ福知山線!という面構えを残しており
ました。
 

 奇跡的に銘板も生存!
 旧阿草トンネルは62m?だと思われます。
 東側坑口も見事な廃風景です。
 東側も西側と同様の風景が続きます。
 左手にしっかりと柵が設けられている以外は。
 これが現在の阿草トンネル。
 右手の広い空間が廃線跡でございます。

 
 現行トンネルは380m。旧が62mのようなので、6倍
以上の長さになりました。
 険しい自然の中通された県道と鉄道は、現在は何事も
なかったかのように抜けていますが、この川の姿を見ま
すと、建設当時の苦難が見えるようです。

 これでこの地域の山陰本線、福知山線の現存旧トン
ネルは制覇できました。ですよね?