石部磯浜トンネル、横坑群


旧中央本線 愛知県高蔵寺駅~岐阜県多治見駅間


その4

 


                  2017年5月訪問


 隠山第一トンネルと目と鼻の先にある「第6号トンネル」正式には「隠山第二トンネル」(約333m)です。
 全体を撮影するのに難儀するトンネルです。
 で、このトンネル、巻厚が圧巻です。なんと、
 
7層巻きです。
 煉瓦製の鉄道、道路隧道全体でもこの巻厚は、
私は見た事がありません。今のところ単独1位で
す。
 馬蹄型アーチの下までずっと小口積みというの
も面白いですね。で、アーチとの境目に長手を一
段咬ませています。
 
 …しかし、引きを何故か撮影しておりません。
 また来ないとな… 
 ここは地面が削れて(削って?)インバート部が
露出しています。
 インバート(仰拱)の説明です。
 なるほど、よく分かりますね~。
 鉄道煉瓦暗渠(橋梁)ではこのインバートは結構
見ることができます。また、切石アーチの切石イン
バートもよく見られます。
 隠山第一トンネル多治見側にもあった翼壁末端
の構造物。
 独特ですねえ。
 刻印入りの煉瓦が展示してありました。
 主に中部地方の煉瓦工場のもののようです。

 四日市煉瓦                        貝塚煉瓦(大阪)                      平坂煉瓦

 その他沢山の刻印が確認できました。
 他にもこんな刻印が発見されたそうです。
 刻印探しも面白いですねえ。
 明治30年頃の煉瓦工場所在地です。
 大阪の貝塚煉瓦や四国の讃岐煉瓦も入って
来ていたようですね。

 他にも様々な情報が掲示されていますが、割愛
します。
 この観光愛岐トンネル群最後にして最長の延長
を誇る、隠山第二トンネル。
 ご多分に洩れず、ここもしっかりオール煉瓦の
洞内を維持しています。
 振り返り。
 本当に内部まで7層巻きなんでしょうか…それ
程、どんな薄い隧道と変わらない廃景です。
 因みにこの6号隧道(333m)の煉瓦使用量は
、推計272万個だそうです。5号隧道(99m)では
55万個だそうで、約5倍の煉瓦を使用しています。
 愛岐トンネル群で最大延長は7号トンネルで、延
長は608m。ここの煉瓦使用量は309万個で最大
ですが、延長の差を考えるとやはり6号の密度が
半端ないですね。

 さすがに333m!結構な長さです。しかも曲がっているので先が見えません。ライトがないと無理ですねえ。
 やはりオール煉瓦はいい!
 2層アーチの退避坑です。
 竹筒のトーチがいい雰囲気です。
 春日井側からのインバートの切れ目です。

 「インバート設置境界」

 「このトンネルは元々の入口はこの付近で、トン
ネル外は切り取りの崖の予定でした。
 工事開始直後に崖が2度にわたり大きく崩れ
結局トンネル部分を60mほど西まで延長しました。
トンネル完成後も何度も偏圧でひび割れなどを生
じレンガの巻き直しや、大きく補強したり、地下部
分にはほかのトンネルにはないインバートなどを
設置して完成しました。
 インバートは崩れた部分のここまで設置されてい
ました。(トンネル入口から68m)」

 往時の苦労が偲ばれます。
 多治見側に辿り着きました。
 えらい絶妙な位置に木を残してますな…
 振り返り。
 天井のアーチ部分に補修がされています。

 隠山第二隧道、多治見側の坑門です。春日井側は7層アーチでしたが、こちらは5層アーチです。
 先程見た通り、春日井側は地盤が悪く68m増設しています。その増設分が7層巻きだったわけですね。
 そして、ここで行き止まりとなります。
 最大の要因は県境だということだそうです。
 古虎渓駅までだと7号(諏訪第一)トンネル、8号
(諏訪第二トンネル)まで入ってきますね。
 深見沢を渡る橋梁はもうありません。
 が、立派な橋台は残されています。
 下部の土台が石積み、上部は煉瓦積みとなっ
ています。
 ここに再び橋が架かることはあるのでしょうか。
 
 さて、帰りしな。
 まだ一つ大きな物件を残しています。

 そう、鯉のぼりのいた広場にあった竪坑。
 これを下から確認しないとなりません。
 川岸の玉野古道跡が整備されて、簡単に暗渠
に行ける様になりました。
 

 笠石洞橋梁

 (ということにしておきます)
 
 宮川さんの所の「宮様の石橋」では、(仮)愛岐
木附橋梁になっています。
 宮川さん計測で径間1.23m(約4尺)です。

 線路下排水路断面図が出ています。
 状況が良くわかります。
 コンクリートの穴は縦に2つ開いています。
 上から覗いてみると…おおおお…延長は19m、
幅が1.23m。この細長い暗渠に人が一杯詰まって
います。
 内部がこんなことになっていたとは…
 沢の下流側は天井がすごく高くなっています。

 こんな感じです。説明板にもあった通り、建設当時の赤い輝きをとどめていますね!
 この暗渠も、100年の時を超えて、こんなにも人々の目に触れるとは思っていなかったでしょうねえ。
 是非、こういった構造物が増えていったほしいです。
 上流側に行くと天井が低く、というより床面が
上がっていきます。
 この辺だと4尺では一般的な高さではないでしょ
うか。
 上流側坑口付近です。
 アーチより内部側壁が一段迫り出していますね。
 また、床面も煉瓦敷きになります。
 見上げると、やはり高い!カメラでは上までは
撮ってませんが…
 高さは8.5mあるということですが、煉瓦の上は
コンクリ製になっております。そして水が入ってく
るような穴がありません。
 どうやら今溜まっている水は、煉瓦の隙間から
染み出しているようです。コンクリ補修前は、この
煉瓦の上面から山手に斜面になっていたのかも
知れません。
 ぎりぎり振り返り。
 巻厚は4尺では多い5層巻きです。盛土の量か
らこのぐらい巻かないと荷重に耐えられない計算
だったんでしょうねえ。
 下流側はこのようになっています。
 ありゃ?穴が3か所ありましたね。
 真ん中から降りてきたわけですな。
 元々はコンクリが無かったはずですんで、相当
背の高い暗渠が対岸から眺められたはずです。
 ひょっとしたら、(仮)多治見東栄橋梁のよう
に、凄まじい翼壁があったのかもです。
 さらに復路を進むと、往路で上を渡った橋梁の
下側を見ることが出来ます。
 煉瓦橋台を隅石でがっちりガードしており、現役
さながらの安定感を持っています。
 そんなこんなで、愛岐トンネル群廃線跡を脱出。
 玉野堰堤の真横に出てきます。
 いやあ、見どころ沢山で良かったです。
 運営の皆様の熱意が十二分に感じられました。
 今後の岐阜県への延伸も陰ながら応援致しま
す。