旧酷道477号線
蔵王ダム水没道

 

 
 滋賀県甲賀市を走る国道477号線。その横を流れる
日野川に存在する蔵王ダム。ダムは専門外で詳しい
ことは他のサイト様にお任せしますが、竣工は1990年
と比較的新しいようです。ただ、着工が1972年という
ことなので、旧道は37年前には使用できなくなっていた
可能性があります。

 ただ、現国道の蔵王ダム真横にある蔵王トンネルは
竣工1985年のようで、実際に廃道化したのはその辺
かも知れません。
 で、現在残っている旧道は上記マピオンの箇所、写真
ではここになります。
 現国道も決して交通量は多くありませんが(冬季は三
重県に至る武平峠が通行止めだからかも知れません
が。。。)広さは充分保っています。旧道は左手、黄色い
ゲートの向こう側となります。
 当然ですがゲートは閉ざされています。
 今日は雪降ってなかったですが、その残雪の量が
使用されていない雰囲気を十二分に感じさせてくれま
す。
 ゲートの奥からすぐ日野川を跨ぐ橋げたが渡されて
います。欄干はガードレールでできており、名前は当然
というか、ありません。
 旧道は日野川を、現道とは反対側の川沿いを進みま
す。
 雪解けはまだ早いのか、水量は多くない気がします。
ダムの水量が豊富な時はここまで水が溜まっている
のではないでしょうか。そんな川床をしています。
 あり?
 旧道と思しき道はガードレールで完全封鎖されてい
ます。もう今後一切この道は使わないよ。。。そんな
塞ぎ方です。
 左脇の細い道は旧道とは逆に登っていってます。
 さあ、ここからが真の廃道のようです。
 道もそれらしく、枯れつつも雑草がアスファルトを覆っ
てきています。
 
 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 んん???

 橋が見える???
 をを。。。

 こいつぁ完全なる廃橋でござるな。。。

 しかしながら、きっちり川を渡しています。
 その前に振り返り。
 やっぱり浅い気がします。しかしながら水の流れは
ストップしつつあり、ダム池の一部になりつつあるよう
です。
 現道は左手の擁壁の上、やっぱり高い位置を通って
います。
 さて、この廃橋ですが、こう見ると現役の橋と見ても
問題ないような姿形をしています。
 しかし、橋から先に行き先はなく、高い擁壁が聳える
のみ。。。

 しかし少し引いて撮影すると、やっぱり様子が廃その
ものの雰囲気。
 しかし、よく残っています。。。
 反対側から左側。欄干もしっかり残っています。 
 で、右側。。。
 対照的に全損に近い状態です。。。
 で、肝心の橋の名前や竣工年度はいかに。。。
 支柱の1つに「日野川」の銘板が。
 もう1つの支柱には。。。
 「昭和43年(1968年)3月竣工」とありました。
 この橋が完成して4年後には蔵王ダム着工、17年後
には蔵王トンネルが完成と、早々と現役を引退させられ
た感じがします。
 若くして亡くなった、なんだか悲しい運命の橋です
ね。。。

 で、結局肝心の橋の名前が分かりません。なぜなら
残る支柱2つが欠損しておるからです。
 大体4つの支柱には、それぞれ、「川の名前」「竣工
年度」「橋の名前」「橋の名前のふりがな」の4つの銘板
が掲げられていることが多いと思います。
 よりによって橋の名前が書かれているはずの支柱が
2本とも欠損しているとは。。。残念無念。。。

 
 残念ですが、先に進みます。
 その旧道はますます廃色を濃くしていき、一面の枯れ
草で覆われ、日野川と隔てるガードレールは錆び色が
濃くなっていきます。
 満水時はここまで水が来るものと思われます。
 ついにその水嵩が尋常でない高さまで上がってきま
す。。。というか、旧道が勾配を下げている、という表現
の方が正しいですが。。。
 見る限りデッドラインは間もなくのようです。。。
 ますます荒れる旧道の姿。。。
 ここは結構頻繁に水没していそうです。
 写真では分かりにくいですが、いがいがのくっつく実
の生るひょろい枯れ植物が無数に生えており、なんか
非常に歩きづらい。。。
 !!!

 現道が橋を渡ります。
 手前のガードレール封鎖地点から左上に伸びていた
道は現道と接続するようです。(今は廃道化しているよ
うですが。。。)
 そして旧道の行く末は。。。
 その静かなる水面は、まずガードレールから飲み込ん
でいきます。
 そして、約束された終焉の地がここに。。。
 その廃化し、枯れ草にまみれた旧道は、斜交いに水
面の静かな侵略を許しています。
 そして最後まで足掻くガードレールも、ダム池の水量
に抗うことはできず、その水面に消えていきます。
 そして、ガードレールに負けじと限界まで足掻く人間
がここに。。。人一人のちっぽけな力ではこれ以上追う
ことはできません。。。お別れですな。。。旧道くん。
 最後に限界からの振り返り。
 現道は何食わぬ顔で擁壁の上、大きな橋梁とトンネ
ルでダム池を遣り過ごします。
 しかしながらここから見える景色は、過去に間違いな
く車の往来を一手に引き受けていた道の姿を垣間見る
ことができます。