(仮)天皇池隧道


兵庫県


  

 神戸市須磨区、須磨離宮公園内に歩道隧道
(特殊トンネル集、人道隧道内に(仮)須磨隧道
として収録済)が存在します。なんでも有事の避難
路として建造されたと言われています。
 そして。。。その歩道隧道にある案内板には。。。
 「これに似た形のトンネルが天井川を1km程
上流に上った場所にあります。」と書かれており
ました。
 なにい〜、それなら見に行かんとなあっ、ってな
感じでやって参りました。
 阪神高速3号神戸線、月見山IC降りてすぐ、この
場所から天井川を遡上することが可能です。
 上の地図の地点です。
 左前方に案内板らしきものが見えます。

 案内板の1つ。ホウホウ。。。左上に地図がありますなあ。

 「広場」から川を遡上、水野第2堰堤、左俣に進んで水野第6堰堤を越えた先に「天皇池」というのがあります。
 目標はここか!

 もう一つ案内板が。。。おおお!ここには記載が!(カーソルオン)
 天皇池の所に「石造り水流調整トンネル」というのがあります。まさにこいつか!
 (。。。実はもう一つ気になる記載が。。。「古い石積み堰堤のトンネル」といのがありますが、コレ、実際に見ていないので
アレですが、あるサイトでは堰堤に穴が開いたもののようです。見に行っておけばよかった。。。
 それでは早速探索開始!
 少し廃れぎみの憩いの広場を横目に、ダート道
を歩きます。車は入ることができません。

 少し進みますと、何か社のようなものが出てきま
した。
 右側にもあります。
 豆分地蔵尊だそうです。
 籔の中に佇む廃木製電柱。
 以前はこのあたりにも家屋があったのかもしれ
ません。
 水野第二堰堤まで来ました。
 堰堤を左から回りこむ形で通過できます。

 水野第二堰堤の上にある平地。
 水が殆どありません。これは振り返りで撮影し
ております。
 (カーソルオン)
 水野町・月見山駅:今来たルート。
 栂尾山・横尾山:今から行くルート。左俣。
 須磨アルプス馬の背:穴の開いた堰堤トンネル
へ行くルート。右俣。

 画像では真後ろが左俣となっております。
 お手製っぽい積み石の堰堤を横目にずんずん
と登って行きます。
 いたって歩き易い道となっております。

 水野第6堰堤も過ぎ、もうそろそろ天皇池が近いな、と思っておりましたが。。。
 むむむ?

 居た!!!
 本当におりました。えらく立派そうな口を開けております。
 水路隧道というのは本当のようで、人道から
一段下がった場所にあります。
 両脇は丁寧に石積みされています。

 こんな山中にこんな口が開いていてもよいのでしょうか。。。ってくらいいっちょまえの佇まいです。
 左右と上段の法面には切石の谷積みがずらり!です。

 全体的に補修を受けている感じのする綺麗な坑口です。
 坑門はモルタルでの補修ですが、それ以外は切石を使っていて雰囲気が良いです。
 笠石も装飾的で、坑門両側を2段の切石で補強しています。要石もあり、迫石は楯状迫石を使用している
ようです。
 水路床もコンクリートで補修していたようです
が、一部剥落してしまっています。
 水路の施工は20mほどで、すぐに自然な川筋
に戻っています。
 いざ、内部へ。。。
 うーむ、暗い。向こうの光が見えません。意外と
長いのか。。。
 やや左に曲がっていますねえ。
 。。。それにしても、洞内は完全にコンクリート
で覆われてしまってますなあ。
 隧道からの風景。一応現役なんでしょうか。
 もう少し内部から撮影。
 水が少し流れています。
 どうやら荒いコンクリートが割れてしまって、
水が床下に流れてしまっているようです。
 
 しっかし見事につるっつるですねえ。。。
 もともとはどんな洞内だったんでしょうか。
 やっぱり素掘りでしょうか。
 反対側坑口の明かりが見えてきました。
 。。。それにしても、床の亀裂、でかすぎで
は!?
 亀裂の内部では清らかな水の流れが。
 懐中電灯なしで入ると大怪我のもとです。お気を
付け下さい。
 反対側の坑口です。
 床の亀裂はもうここからはじまっているよう
ですねえ。
 抜けてみますと。。。うーん、まんま水路っぽい
ですなあ。

 反対側も全く同じ姿形をしておりました。
 後年、全体的に改修されているものと推察されます。結構よさげな改修です。

 少し遠目から。隧道に向けて一段下がっています。
 そして、全く水の流れがありません。あの内部の水はどこから?
 振り返ると、上流も普通の川床に戻っている
のが分かります。
 2枚上の写真から右を向きますと。。。おお、
水溜り。。。いや、池かな?池があります。
 これが天皇の池かな?
 池の方も確認しましょう。
 隧道横の石垣が堰堤のように丸みを帯びて
います。
 。。。しかし、川とこの池は表面上繋がっている
気配がありません。
 普段は地下を潜っているんでしょうか。
 大雨の増水時にさっきの川床を水が流れて、
そのまま隧道を抜けていくシステムなんでしょうか
ねえ。地下流水の許容を超えた分が隧道に流れ
ていく感じでしょう。
 池はそんなに広くありません。澄んでいるから
よく見えるのもありますが、深さもそれ程でもあり
ません。
 すんごい澄んでますねえ。
 外周は歩けるようになっています。
 堰堤側にやってきました。
 ここで水を塞き止めて、人工池を造り出したよう
です。
 何か設備もありますねえ。
 これは送水口ではないでしょうか。
 ここで溜めた水を須磨離宮に運んでいたので
はないでしょうか。

 ここにも解説の立て札がありました。
 やはりさっきの設備で送水していたようですねえ。で、隧道は増水時の土砂水迂回路として造られたよう
ですねえ。

 現役当時の写真もありました。
 (カーソルオン)すると、現在の写真と合わせられます。
 しかし、100年近く経ってもよく残っていますねえ。
 増水時にはその役割を今も担っているので
しょうか。
 山中の水路では非常に稀な装飾を施した隧道。
 その建設の過程なくしては存在しえなかったこと
でしょう。