2014年6月訪問
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この近辺を生活圏とされる方々でしたら、一度は見かけたことが あるのではないでしょうか。 意識はしていなくても嫌でも視線の中に入る、あの煉瓦の カベ。。。 兵庫県は川西市。南北に流れる猪名川と並行して東西に主要 道路が走り、東は国道173号線。西は兵庫県道12号線となります。 国道は片側2車線で、通勤や貨物輸送のトラックが多数行き交う 屈指の混雑路線です。 片や県道12号。こっちは国道の裏側でひっそりと佇む閑散 県道。。。ではなく、片側1車線歩道なしの狭小路線にも関わらず、 国道に引けをとらないぐらいの繁忙路線です。お互いに役割分担 が完璧で、大ざっぱに言えば、大阪市街なら国道173号線、兵庫 の各市街なら県道12号、というぐらいに棲み分けができています。 こんな狭小繁忙路線に寄り添うのが能勢電鉄という、ちょっと マイナーな路線。 この能勢電鉄ですが、開業は大正2年。現在の川西能勢口駅 から現在の一の鳥居駅までが最初です。この大正初期生まれの 電鉄の構造物は煉瓦も使用しており、橋台や廃止され現存する 旧笹部トンネルなどがあります。 しかし!これまで煉瓦アーチがある、という情報は一切なく、私的 には残念路線に分類されていたんですが。。。 |
ご覧の路線が県道12号です。歩道はおろか、外側の白線もな い、無慈悲な狭小県道。。。 それでも、特に自転車の往来は少なからずあります。非常に危 ないですよね。。。 左手の擁壁が鶯の森トンネルです。上りと下りでトンネルの長さ が異なります。手前の上りはシェッドに近い雰囲気で、土被りが 少ないです。 |
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これこれ。 これが鶯の森トンネルです。 ぎりぎりトンネルって感じですな。 |
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さてさて。。。この県道を通ったことがある人なら、誰でも視界にとらえることが出来る煉瓦のカベ。。。 見えますでしょうか。。。 |
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徐々に近づいてきました。 そうそう、あの緑に囲まれた所。。。 |
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これです! みたことあるでしょ!?(←いやいやwww) 拙ホームページをご覧になる皆様の中で、この路線を使う人が一体何人いるんだって感じですが。。。 私はこの趣味を始める前から度々通っていて、この謎の煉瓦も特別な意識なく横目で見やってました。 能勢電鉄がらみで、そういえばこの路線、煉瓦橋台や煉瓦廃トンネルはあるのに煉瓦アーチがないなって思ってました。 その時に思い出したのがこの煉瓦のカベ。。。これって何? |
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ちょっと引きめで撮影。写真には車がそんなに写ってませんが、かなり待って、途切れる瞬間を狙ってますんで。 待つ間、私の存在がさぞ邪魔そうに除けていきます。そらそうだわな。。。 初めて徒歩での確認で、確信を得ました。。。間違いない。これは能勢電鉄妙見線の水路暗渠の坑門である! 煉瓦もイギリス積みです。道路の下にアーチが埋まってるに違いない! 以前は全部露出していたと思いますが、車道嵩上げの影響で埋まってしまったと推察します。 |
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さて、と。。。 どうやってアプローチするか。。。 実はくるまみち煉瓦アーチ探索で最も困難な物件なのです。 まず、車道側の坑門は埋まっています。車道を抜けて猪名川に 水路が続いていると思いますが、車道から下を覗きこむと結構 絶壁&植生が凄くて穴が開いてるかどうかも分かりません。 となると反対側、山側からのアプローチとなりますが、これも 一筋縄ではいきません。 まず現行路線とトンネルに阻まれます。しかも結構高い擁壁。 裏側の山の上は造成され、鶯台という住宅地になっています。 住宅が線路側をずらりと囲っているため、容易に抜けることも 叶いません。 |
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そう、あそこに行きたいのです。 トンネル擁壁と山肌を支える擁壁の間の緑地帯。。。 実は、現行路線北行きはこのあと鉄橋を渡るんですが、旧線は まだ山肌に取り付いたまま。 従って、旧線敷きに登れたらアプローチできるかも。。。と思った んですが、ご覧の擁壁の高さがずっと続く&交通量の多い車道 からのアプローチは。。。ムリ! 類稀、極めて困難な煉瓦アーチへのアプローチ。。。 しかし!そんなことで諦められるか!!! 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 |
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。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 気が付けば。。。 トンネル北側坑門と線路を上空から眺められる場所に。。。 。。。はっきりいってかなり強引なアプローチです。 アプローチ方法はお教えできません。(線路は横切ってません、 念のため) 自己責任でアプローチお願いします。できたら止めといた方が いいです。 。。。さて、接近しましょうか。。。 |
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!? な、なんだあれは。。。 ここは線路と高台の住宅街に挟まれた急峻な山肌の谷底。。。 人の存在などあり得ない雰囲気なんですが。。。建物がある。。。? |
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むむむむむ。。。 明らかに廃感たっぷりですが、そんなに古い建物ではなさそう です。 |
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もう一方の建物。 こちらは少し古そうです。そして。。。なんか鳥居もありますよ? |
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。。。うーむ。。。なんなんだこれは。。。 今の状況から考えると、完全に孤立した場所に存在します。 |
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側面です。 トタンで増築してるみたいです。 そしてその建っている場所が。。。 |
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おおお。。。 小川の真上です。 そして!この小川が線路を潜る場所こそ!当方の本丸でござい ます。 。。。が、もうちょっとこの廃屋たちを見てみましょう。 |
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こ、これは。。。神社!? |
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川の水が氾濫して水浸しです。 もう長いこと手入れされていないことが分かります。 |
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鳥居に名前が刻まれていました。 瀧山寺 お寺でしたか! |
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谷底の岩場に挟まるようにして存在します。 これが本堂でしょうか。 |
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この本堂にも瀧山寺と掲げられています。 | |
本当に切り立った岩場の隙間に挟まってます。 なぜこんな所にお寺があるんでしょうか。。。 |
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川西市の市街地に程近い場所にまさかこんな孤立した場所があるとは。。。 しかも廃寺。かつては能勢電鉄の線路に踏切があって、そこを渡ってきてたんでしょうか。 はたまた高台の住宅街がないころは参道があったのかもしれません。 ネット上ではこのお寺に関する情報は得られませんでした。 2014年6月29日追記:後日掲示板にて太助さんより有力情報頂きました。 提供内容転載:能勢電鉄のレポートで発見されていた滝山寺と呼ばれる廃寺ですが、川西の風土記という本には滝行場 として使われていたものと記載がありました。 今は見る影もありませんが、本堂らしき建物の横に落ちている小さな滝らしきものは、周辺の地名や能勢電の駅名のもととなった 鼓が滝という滝だということでした。 確かに本堂の左横に水の流れた跡があり、梯子がたてかけてあります。 そこを滝行場にしていたんですねえ。 鼓が滝について興味深い記事を川西市のサイトで見つけました。歌碑は猪名川東岸の下滝公園にあるようですが、 その鼓が滝の場所がまさかそんなところにあろうとは、です。 太助さん、ありがとうございました。 |
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新しめの建物の脇に線路方面に続く道がありました。 やはり昔踏切があったんでしょうか。 |
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建物の下の小川。 この小川を辿れば、狙いの物件に喰らいつけます。 わざわざここから行かなくても、ですがね。 |
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歩きやすいところからアプローチ。 坑門が。。。見えてきましたが。。。コンクリ。。。? |
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ぬぬぬぬぬ!? 土管!?コンクリート張りに土管。。。どう見てもそう見えます。。。 なんてこった〜orz |
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ずっと奥まで土管のようです。。。 そんなばかな。。。じゃああの煉瓦カベはなんだったんだ!? |
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諦めきれず。内部を覗きます。 幸い人が容易に入れるくらい大きな土管でした。ただ、やや傾斜しており、滑りそう。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。??? 土管が途中で終わり、先に怪しい雰囲気が。。。これは逝くしかない! |
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ああああああああああああ!!? でででででた〜!煉瓦だ〜!!! |
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しかも! 予想通り!煉瓦アーチだ!!! |
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立派な煉瓦アーチ! 能勢電鉄妙見線で初の煉瓦アーチ確認! 名称はお寺の名前にあやかって、(仮)瀧山寺橋梁 と致します。 |
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長さは非常に短く、単線分の延長でしょうか。 その先はBKになっており、これは県道の分でしょう。 |
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目地はちょっと雑ですなあ。 それでも数十年間、荷重に耐え続けています。 |
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BKとの隙間になんか。。。 蓋!? |
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切れ込みから煉瓦アーチが見えてます。 2層見えてますな。 |
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蓋は錆びた鉄板でした。 ちょっと持ち上がったので、次のアーチ環が見えました。 恐らく3層巻きと思われます。 |
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県道下のBKの先はいきなり猪名川の流れ。 やはりここから出入りするのは無理そうです。 |
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ぎりぎりから振り返り。 嵩上げする前の県道(だったかどうか分かりませんが)はこの 高さだったんでしょうか。 |
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(仮)瀧山寺橋梁東側坑口です。 この暗渠もやや傾斜してますな。 |
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イギリス積みの側壁、アーチは長手積みの定番スタイル。 まさか複線化時の拡幅が土管で行われるとは。。。 |
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さて。。。脱出も一苦労です。 それにしても、とんでもない所にあったもんです。 |
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なんとかかんとか脱出成功!ふう、やれやれ。。。 しかしながら漸く長年の謎が解明されました。 『なんであんなところに煉瓦のカベが?』 |
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最後に。 もう一度煉瓦のカベに行き、足元をごしごしやってみると。。。 なんとまあ、煉瓦アーチが見えてるではありませんか。 枯葉で埋もれている&車での高速通過では気が付かないです わな。 そんなこんなで。。。 能勢電鉄初の煉瓦アーチ、捕獲完了!!! |