特選隧道 File.13
 かねがさか
鐘ヶ坂隧道
兵庫県 篠山市−丹波市 旧旧国道176号線 廃隧道
1883年(明治16年)9月竣工 延長268m 幅4.5m 土木学会選近代土木遺産Bランク
かつては放置されて荒れ放題だったが、今は整備されており、誰でも訪れることが可能。
竣工から133年経過(2016年現在)している。
篠山側(多紀郡側)に立派な坑門を残す。扁額の下には鶴の彫り物もあり、珍しい。
「事成自同」の扁額。左端に「明治十六年九月」「熾仁書」と書かれている、と思われる。
有栖川宮熾仁(アリスガワノミヤタルヒト)親王は、ウィキペディアによると、有栖川宮第9代当主。
1835年(天保6年)−1895年(明治28年)享年61歳。明治16年竣功なので、49歳の頃の書とみられる。
柏原側(氷上郡側)は大部分がコンクリで覆われており、唯一扁額の周辺だけレンガ積みが顔を覗かせる。
「鑿山化居」の扁額。左端に「三條實美」(三条実美:サンジョウサネトミ)。さらに刻印が2つ。上は「甲斐國公裔孫」下は「藤原實美」と思われる。
三条実美はウィキペディアによると明治政府最高首脳人物の1人。
1837年(天保8年)−1891年(明治24年)享年55歳。明治16年竣功なので、47歳の頃の書とみられる。
洞内に「多紀、氷上群界」の銘板あり。

  
甲斐國公裔孫                             藤原實美
甲斐国公=藤原公季(フジワラノキンスエ)と思われる。公季は藤原北家閑院流の祖で、国公は甲斐公と呼ばれる。
三条実美はその藤原北家閑院流の一つ、三条家の嫡流だそうなので、「藤原實美」という印を使ったと思われる。
裔孫は遠い子孫や末の子孫という意味があるので、「甲斐國公裔孫」の印は、甲斐国公の末の子孫であることを示すものと思われる。
この両印が押されることによって、この隧道の重要性を示すものと思われる。(五位堂氏、Wikipedia参照)
     
多紀郡側                                  氷上郡側