I発電所導水隧道


兵庫県


 

2014年11月訪問                                                       

※今回の探索は場所を非公開とさせて頂きます。
 10月のある日、「兵庫県某所に旧発電所の導水路隧道がありますよ」そのような内容のメールを頂きました。
しかもご案内までしていただけるといいます。その発電所のことは知りませんので、喜んで!!!
嬉々としてお受けし、今回の合同探索に至りました。
 お誘い頂いたのは、大阪府在住のUさん。本職よりも本職と熱を入れるこうもりの生体調査をされている方
です。しかもその筋ではかなり著名な方で、名前を検索するとずらっと関連記事が見つかります。
当方のHPをご覧くださっていたようで、今回お声をかけていただけました。ありがたいことです。

 というわけで11月某日、兵庫県の某所駐車場に集合、いきなりのウェーダー着用での探索です。
 レポは取水堰堤後から100m程進んだ場所からスタートです。
 河川の奥にコンクリ構造物が見えます。これで場所分かる方は凄いですが、どうか場所の明示はお控え下さい。
 あのコンクリ構造物に向かうまでの道中、導水
路はキャンプ場への造成、自然崩壊により殆ど
見ることはできません。
 その中で僅かに残る遺構が。
 導水路の遺構だと思われます。U氏が乗って
いるコンクリは、導水路上を谷水が流れるように
していたようです。
 
 押し潰された?導水路。
 隙間を覗いてみましたが空洞は確認できませ
んでした。
 側壁は石積みになってますな。
 導水路の蓋渠部分でしょうか。
 フラットな路面として残っています。

 そんな導水路が少し続いた後、何かしらの構造物が見えて参りました。 
 当時はかなり厳重な封鎖であったことが推察
されます。
 どうやらこの先で水路が表に出ている模様
です。
 お邪魔してすぐ。
 足元を見下ろすと…おお!坑口だ!
 やはり開口部がありました。
 水槽に水門付き。
 そう、どうやらこれは沈砂槽のようですね。
 下流側から。
 こちらの方が見やすいですね。
 水門もこの通り。
 現役で使えそうですね〜
 沈砂槽に降りてみました。
 取水方面を見ています。下流側にも隧道が口
を開けていますが、まずはあの隧道からチェック
してみます。
 コンクリートポータルです。
 明治後期から大正初期にかけての発電所
らしいですが、改修しているんでしょうか。
 綺麗な洞内です。
 高さも意外とあるので、少し頭を下げる程度で
入洞できます。
 少し進むと、直ぐに奥で閉塞の臭いが…

 閉塞地点間近にしてこうもりさん登場!
 U氏によると、前回探索時にはこの上流側の隧道にはいなかった、とのこと。
 こうもりのフンであるグアノが結構もりっとあるので、どうやらここで冬を越すつもりのようです。
 然るべき所から許可を得て、タグ付けをされて
います。
 すごい。本格的です。
 この時期のこうもりは冬眠状態のようで、種類
にもよるみたいですが、少々触っても目覚める
ことはないようです。
 素人である私は触らないほうがいいです
ね〜

 こちらのこうもりはキクガシラコウモリというそうです。
 鼻の辺りが菊のように見えることから名がついたようです。
 私もこのタイプをよく見かけるのではないでしょうか。

 さて、隧道の方ですが、閉塞はこんな感じです。
 板だけで封鎖しているのかと思い、どんどんっと叩いてみると、これコンクリです。
 向こうにも空間が?と思いましたがこれでは分かりません。
 よく見ると、隧道が終わってます。ここから先
は蓋渠になっていたんではないでしょうか。 
 最深部より振り返り。
 それ程深くはなかったですが、こうもりさんは
しっかり冬眠場所に使っておりました。
 床にはグアノがもりっと溜まってます。
 さて、脱出です。
 次は下流に…

 下流側の坑口は…うおおお…えらいことになっています。
 坑口のサイズは同じですな。
 で、この柵みたいなのですが、人が入らない
ようにっていうよりか、草木の侵入を防ぐ役割
があった模様です。まあ人が落ちてもこれで
助かりますけどね。
 アーチの手前にはゲート挿入枠があります。
 天井部から差し込んで流量調整をしていたの
でしょう。
 内部にお邪魔します。
 コンクリアーチはすぐ途切れ、素掘りになりま
す。

 素掘りは一部のみですぐコンクリ巻きに戻っています。
 なんでここだけ素掘り?
 振り返り。
 左側壁ちょっと固めてあと素掘り…
 なんででしょ?

 そうこうしているうちにU氏が二種類目の
こうもりを見つけておりました。

 接写レンズではないのでなかなかうまく撮れません。二匹重なってます。 か〜わ〜い〜い〜
 で、これは珍しいですねえ、いや、私はですが。
 これはテングコウモリというそうです。特徴は銀色に光る長い上毛がまばらに生えた体毛でしょうか。
 天狗の鼻のような管状の鼻孔が名前の由来になっているようです。
 これはあんまりみたことない気がします。

 そして洞内は再び素掘りとなり、一直線に奥に伸びています。
 行ける所まで行ってみましょう!

 ヘッドライト+手持ちライト+三脚−フラッシュでこんな変な色合いの写真が撮れました。
 手持ちライトが何故か青みがかった色を出します。
 これはこれでいい雰囲気ですね〜

 振り返り。
 うーむ、怪しい…

 フラッシュ映像と、先程の映像を比較下さい。
 印象が全く違いますね〜

 ずんずん内部に進みます。しかし固い岩盤ばっかりですなあ。
 当然ダイナマイト使ってるでしょうけど大変ですよねえ。

 当時の喫水線ではないでしょうが、廃止後だいぶ長いことこの水位があった模様です。
 今はかなり水がないですね。ありがたいことです。
 で、上の棒は今気が付きました。なんやろ、これ?

 おおお、ここは頭が高いです。
 で、ここには当時の喫水線らしきラインが付いています。
 こんなに水が流れていたのか〜。恐ろしや…
 おお!三種類目発見のようです!

 これまたちっさい!かーわいー
 キクガシラコウモリに似ていますが、そのミニチュア版。その名もコキクガシラコウモリ。半分程の体格みたいです。
 続けざまにもう一種類発見!
 すごい!

 これまただんごみたいで愛らしい。これはモモジロコウモリというそうです。
 その名の通りももに白っぽい毛があることに由来するそうです。でも、ももっていうかお腹のようですが…
 同じ場所に4種類も確認できました。私は幸運ですね〜。
 振り返り。
 なかなかの高延長&一直線です。
 それにしても水深が上がってきましたな。
 しかし、最大水深はこの暗いところでしょうか
ら、随分浅くなっていますね。

 
 久しぶりのコンクリ巻き立て
 …むむ?なんか右上に隙間が?
 写真では分かりづらいですが、やっぱり穴が
開いています。
 カメラを突っ込んでみると、斜め上に隙間が
続いています。
 光は見えませんが、風があります!
 タヌキ掘りの斜坑があったのか、自然の隙間
かは分かりませんが、ここだけ巻き立てがある
ってことが後者の可能性を示しています。
 部分巻き立てを過ぎ、また素掘りに。
 しかし長いですねえ。
 奥で何か見つけたようです。
 熱心に観察されています。

 おお!団地です。コキクガシラコウモリの団地がありました。
 この辺りが一番暖かいのだろう、ということで、冬眠場所にしているようです。
 よく見かける何十匹も団子に犇めき合うコロニーにはなっていないようです。

 振り返り。
 まだ光が見えています。凄いですねえ。
 天井にはこうもり団地が。
 カベにこのような表記が。
 隧道が600mというわけではなく、取水口から
の導水路全体の距離と思われます。
 隧道は300m近くありますかねえ。

 またも巻き立てが。こちらは支保工を使ってきちっと巻いた感じがします。
 その先は素掘りのようですが、様子がおかしいですね…

 おおお…結構瓦礫が転がっています。
 今までこんな状態の箇所はなかったんですがねえ。

 むむむむむ…雲行きが非常によろしくないですなあ。
 突然の豹変ぶりに驚きを隠せません。

 急速に洞内が窄まっています。
 なんだか掘りかけってな状態ですな…
 しかし現役で使われていたはずですから、そんなわけはないんですがね…

 無念!完全な閉塞です。
 …しかし何かがおかしい…。天井崩落による閉塞ではない感じがします。
 で、洞内が窄まっている原因は、天井ではなく床面…床面がせりあがっているんです。
 しかもこれ…瓦礫ではないですよ!?

 これこれ、これです。どう見ても、触っても、踏んでもコンクリートです。
 混ぜ込みの多いやつですが、どうみてもコンクリートです。
 どうも向こう側からコンクリートが流入し、そのまま固まった模様です。
 …この事態をどう見るべきなんでしょうか…
 廃止後、わざと向こう側からコンクリを流し込み、封印しようとしたのか。はたまた、隧道修復中にコンクリを誤って
ぶちまけてしまい、そのまま廃止に追い込まれた、とか。後者はさすがにないかな。
 しかし前者にしても、あまりにぞんざいな封印の仕方です。ちゃんと壁にして封印すればこんなに大量にコンクリは必要
ないと思いますが…。謎ですな…?

 閉塞撤退!
 しかし相当な延長を残しておりました。しかも全部岩盤です。掘削には相当な苦労があったと推察します。
 片側閉塞によりこうもりさんには最高の棲家となっておる模様です。4種類も観察出来てよかったです。
 ご案内頂いたUさんに感謝致します。

 この後、反対側を車で移動しつつ捜索したんですが、見つからず。
 帰ってネットで調べると、おおよその導水路の位置が判明しました。次回はその部分の探索をしたいと思います。